豚インフルエンザについて(Q&A)
豚インフルエンザとは何ですか?
豚インフルエンザとはA型インフルエンザウイルスにより引き起こされる豚の呼吸器疾患です。豚インフルエンザの流行は豚で定期的に発生します。ヒトは普通、豚インフルエンザにはかかりませんが、ヒトの感染は起こりうるし、実際に感染者が出ています。ヒトの感染ケースは、豚が周りにいるヒトたちに多いのですが、豚インフルエンザウイルスがヒトからヒトへ伝染する可能性もありえます。
米国で人が豚インフルエンザに感染したことはありますか?
2009年3月末と4月初めに、ヒトがA型豚インフルエンザ(H1N1)ウイルスに感染した例が南カリフォルニアとテキサス州サン・アントニオ付近で初めて報告されました。CDCと地元および州の保健当局が共同で調査を行っています。
そのH1N1(豚インフルエンザ)ウイルスは伝染するものですか?
CDCはそのウイルスは伝染するもので、ヒトからヒトへと伝染しているとの判断を下しました。しかし、この時点では、ウイルスがヒト−ヒトの間でどのくらい伝染し易いのかは、わかっていません。
人ではH1N1(豚インフルエンザ)はどのような徴候や症状がみられるのですか?
ヒトのH1N1(豚インフルエンザ)の症状は冬に流行するヒトインフルエンザの症状と同じで、発熱、咳、のどの痛み、体の節々の痛み、頭痛、悪寒、疲労などがみられます。H1N1(豚インフルエンザ)が原因で下痢やおう吐のあったヒトもいます。過去にはヒトがH1N1(豚インフルエンザ)に感染して重い疾患(肺炎や呼吸不全)にかかったり死亡したという報告もあります。冬に流行するインフルエンザのように、H1N1(豚インフルエンザ)は元からある慢性疾患の悪化を招くこともあります。
H1N1(豚インフルエンザ)に感染すると重症になりますか?
冬に流行するインフルエンザのように、ヒトのH1N1(豚インフルエンザ)の症状は軽症から重症までさまざまです。2005年から2009年1月までの間、米国でH1N1(豚インフルエンザ)にかかったヒトは12例発見されていて、死亡者は出ておりません。しかし、H1N1(豚インフルエンザ)の感染は重症になるケースもあります。1988年9月に、ウィスコンシン州のそれまで健康であった32歳の妊婦が、H1N1(豚インフルエンザ)にかかった後肺炎で入院し、8日後に死亡しています。1976年にニュージャージー州フォートディックスでH1N1(豚インフルエンザ)が流行しましたが、200人以上が感染し、数人が重症となり、一人が死亡しています。
豚インフルエンザはどのようにして感染するのですか?
豚インフルエンザは2つの方法で伝染します:
●感染した豚との接触または豚インフルエンザウイルスに汚染された環境にさらされること
●豚インフルエンザに感染したヒトとの接触。豚インフルエンザのヒト−ヒト間の伝染も報告されており、冬に流行するインフルエンザと同じように伝染すると考えられています。つまり、主に感染したヒトの咳やくしゃみを通じてヒトからヒトへ伝染すると考えられています。
豚インフルエンザを治療する薬はあるのですか?
はい。CDCはこうした豚インフルエンザウイルスの感染に対する治療と予防に、タミフル(オセルタミビル)またはリレンザ(ザナミビル)の使用を推奨しています。抗ウイルス薬は処方薬(錠剤、液剤、吸入薬)で、インフルエンザウイルスが体内で繁殖するのを抑えます。感染した場合、これらの抗ウイルス薬を使えば症状を軽くし、早く回復させます。インフルエンザによる重い合併症も予防します。発症してすぐ飲み始めれば(症状が出てから2日以内)、これらの抗ウイルス薬は最も効果があります。
豚インフルエンザに感染したヒトが他のヒトに感染させる可能性のある期間はどのくらいですか?
豚インフルエンザウイルスに感染したヒトは、症状がある間はヒトに感染させる可能性があると考えるべきで、発症から最高7日までその可能性があります。子供、特に幼児ではさらに長い期間である可能性があります。
かからないよう、どのように体を守ればいいですか?
豚インフルエンザから体を守るためのワクチンは現在のところありません。インフルエンザのような呼吸器の病気の原因となる病原体の繁殖を防ぐのに役立つこととして、毎日やれることがいくつかあります。健康を守るためにそれを毎日やりましょう。
●咳やくしゃみをするときは鼻と口をティシュで覆いましょう。使い終わったらティシュを屑かごに入れましょう。
●手は石鹸と水で頻繁に洗いましょう。特に咳やくしゃみをした後には必ず洗いましょう。アルコールの入ったハンドクリーナーも効果的です。
●症状のある人との密接な接触はなるべく避けるようにしましょう。
●インフルエンザを発症したら、職場や学校を休んで外出を控え、他人との接触をなるべく少なくして他人への感染を防ぐようCDCは勧めています。目、鼻、口などには触らないようにしましょう。手で触ることによってウイルスは広がります。
発症したらどうすればよいですか?
感染例の出ているカリフォルニア州のサンディエゴ郡またはインペリアル郡、あるいはテキサス州のグアダループ郡に住んでいて、発熱、体の節々の痛み、鼻水、のどの痛み、吐き気、おう吐、下痢などのインフルエンザに似た症状が出たら、特に症状が心配であれば、医師に連絡をして下さい。医師がインフルエンザの検査や治療が必要かどうか判断します。
症状があれば、できるだけ他人との接触を避け、他人に感染させないよう外出は控えるべきです。
発症して次のような重症徴候があれば救急外来を受診すべきです。
小児では、緊急受診が必要になる重症徴候には次のものがあります:
●速い呼吸あるいは呼吸困難がある
●皮膚の色が青みがかっている
●水分を十分飲まない
●目が覚めない、または呼びかけに反応しない
●機嫌が非常に悪く、抱かれることも嫌がる
●インフルエンザのような症状が良くなった後も、発熱や咳が再び悪化する
●発疹を伴った発熱がある
成人では、緊急受診が必要となる重症徴候には次のものがあります:
●呼吸困難あるいは息切れがある
●胸部や腹部に痛みあるいは圧迫感がある
●突然のめまいがある
●錯乱状態になる
●重度のまたは持続的おう吐がある
豚肉を食べたり調理することによって豚インフルエンザにかかりますか?
いいえ。豚インフルエンザウイルスは食物を通して伝染しません。豚肉を食べたり、豚肉から作られたものを食べて豚インフルエンザにかかることはありません。適切に処理され調理された豚肉の製品は食べても安全です。
※本情報はCDCのホームページに掲載されている情報を正確に翻訳したものです。
豚インフルエンザはA型インフルエンザウイルスにより引き起こされる豚の呼吸器疾患で、米国の豚の畜産業に大きな経済的影響を及ぼします。豚のインフルエンザの流行はよくあり、特に冬期に発生します。豚インフルエンザは、豚の集団内で発症率が高くなることがあります。
豚の豚インフルエンザの徴候には次のようなものがあります。
咳をする(ほえる)
鼻からの分泌物がある
くしゃみをする
呼吸困難がある
餌を食べない
■感染した豚では高熱は珍しくなく、メス豚では受精率の低下や流産率の上昇が起こることもあります。
■米国の商業用の豚の30%〜50%が豚インフルエンザに感染していることが調査により示されています。
■豚は他の豚からインフルエンザウイルスに感染すること(豚インフルエンザ)が最も多いのですが、鳥からも(鳥インフルエンザ)人からも(ヒトインフルエンザ)感染することがあります。このインフルエンザウイルスの異種間の伝染により新型のインフルエンザが生成されます。
■米国の豚集団内に広がるインフルエンザの亜型や株の数が多いことが豚インフルエンザワクチン接種計画を困難にし、豚の発症による経済的損失を拡大させています。
豚インフルエンザに関するQ&A
Q.豚インフルエンザは豚の間でどのように広がるのですか?
A.豚インフルエンザは、大部分が豚間の密接な接触により伝染し、また感染した豚と感染していない豚の間を介在する汚染物からも伝染すると考えられています。継続的に豚インフルエンザに感染している豚の集団や豚インフルエンザに対してワクチン接種を受けた集団では、感染は散発的か、感染しても症状が軽いか全くないこともあります。
Q.豚を豚インフルエンザの感染から防ぐことができますか?
A.豚インフルエンザの感染は次のようにして防ぐことが可能です:
■豚集団にワクチンを接種する
■優れたバイオセキュリティー対策を施す
■養豚家に健康管理の改善を奨励する
■適正な換気システムを用いる
Q.豚に対するインフルエンザワクチンの効果は?
A.インフルエンザワクチンは役に立ちますが100%有効ではありません。理由の一つとして豚に伝染するインフルエンザにはいくつかの異なった株があり、ワクチンがすべての株に対して感染を予防するものではないからです。
Q.獣医はどのように役立つことができますか?
A.獣医は、豚集団内でインフルエンザが広がるのを抑えるための、また豚、人、鳥の間でインフルエンザウイルスが広がるのを防ぐための管理方法を策定する手助けができます。
Q.豚肉を食べると豚インフルエンザに感染しますか?
A.豚インフルエンザが食物を通じて伝染する可能性を示すエビデンスはありません。適切に処理され調理された豚肉と豚肉の加工品は安全です。豚肉は、中心が71°Cの温度になるまで加熱調理をするとバクテリアやウイルスは死滅します。
あなたがやれること
豚に接触した後はまず手を頻繁に洗い、症状があるように見える豚との接触は避けましょう。あなたか家族の人がインフルエンザのような症状が出たら、医師にインフルエンザにかかっている可能性がある豚のそばにいたことがあったかどうかを伝えましょう。豚インフルエンザに感染しているかどうかを判定するには鼻腔または咽頭のスワブ検査が必要です。
人のインフルエンザの症例はほとんどがヒトインフルエンザウイルスによるものです。しかし、まれに豚インフルエンザへの感染が起きた場合、保健当局はあなたの症状について話を聞き、あなたと一緒に住む人や働く人が豚インフルエンザを発症していないかを確認します。人の豚インフルエンザを治療するためのインフルエンザ治療薬はあります。そうした治療薬は、発症後2日目までに飲み始めると最も効果があります。
豚インフルエンザが人の間に広がっていることを知ることは、保健当局がその後に症例が発生するのを防ぐ措置をとるために重要です。
インフルエンザは豚から人へ、そして人から豚へ感染することがあります
■豚インフルエンザウイルスは人に移ることがありますが、多くはありません。
■ヒトインフルエンザウイルスと豚インフルエンザウイルスは異なっています。ヒトインフルエンザのワクチンを受けた人でも豚インフルエンザを発症することがあります。
■人が豚インフルエンザに感染したときの症状は、ヒトインフルエンザウイルスに感染したときの症状と同じです。
■インフルエンザにかかった人は発熱(高熱になることが多い)、咳、体の節々の痛み、頭痛、疲労感、鼻水または鼻づまりがあります。おう吐や下痢が起こることもあります。
■最近の調査で、豚の畜産家の15%〜25%、獣医の約10%が豚インフルエンザウイルスに感染していることが示されています。
■豚インフルエンザの症例は豚に直接さらされている人に最も多く起きていますが、人から人への感染例が報告されています。
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